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ときめく

話題の片付けコンサルタントこんまりさんの本を読んでみました。

丁度アップル用の電子書籍版があったので自前のiPod Touchで。
導入と各章冒頭にFlashみたいなOP動画があるのですが、
これのせいで書籍アプリを起動するとミュージックが強制停止される仕様で
好きな音楽を聴きながら読むというのが禁止されているのが非常にウザい。
電子書籍だからメルチメディア要素入れたかったんだろうけどウザいです。
唯一有益だったのは服のたたみ方の動画くらいですかね。

結論から言うと、万人にはオススメできない本ですね。

おおまかに
 ・一章 概論
 ・二章 捨離断
 ・三章 収納ノウハウ
 ・四章 日々の後片付け
 ・五章 総論
なのですが、一章と五章はほぼ著者の自分語りと妄想。
『妄想』って酷い言い方なのですが他に適切な表現が見当たらない。

捨離断の理論も色々と極端な上、明らかな間違いがあるんですよね。
特に書類の整理で給与明細と家電の添付書類は要らないから捨てろは滅茶苦茶。
給与明細の件は年金やサービス残業など社会問題に対して余りにも勉強不足。
それに家電の期限前保証書とシリアル番号書いた紙は捨てちゃダメです
(それ以外の説明書類はまず読まないから捨てるべきには同意)
著者が『機械よくわからなーい』なお姉さんなのが容易に想像つくけど、間違った情報はダメ。

物を捨てた後の整理整頓のノウハウはとても参考になるのですが、
とにかく分析と科学的根拠が皆無で裏付けが『素敵だから』の一辺倒なので文章がお花畑。
例えば服を定型サイズに折りたたんで立てて並べるというのは、
服のしまい方を縦積から横置きに変えて所持品をインデックス化する効果と
引き出し内でデッドスペースになりがちな『高さ』を活用する効果が考えられるわけですが
『不思議とピッタリと収まるんです!ときめく!』で文が終わってて分析できてない。

全然着ていないけど気に入らない服を
『これは私がこのデザインを気に入らないという情報を与える役割を果たした』
と思って捨てましょう、というのも発想の転換としていいアイデアなのだけど
『ときめかないから捨てましょ』という発言で微妙に信憑性を失っているのが勿体無い。
所々にある精神論も、心理学の専門家が分析すれば科学的裏付けが取れそうなものが多い。

とはいえ、難しい理論を排除して『ときめく・ときめかない』に単純化した基準は分かりやすく、
中々物を捨てられない人の背中を押す効果はバカにできないと思います。
人は選びますが、テレビや広告を見て興味を持つような層には良書足りえるのでは。
著者自身が自らの未熟さを自覚している記述も随所に見られるので、
今後彼女が結婚を経て伴侶や子供のいる環境でノウハウを磨く事で完全版になりそう。

総合すると、著者が乙女思考なのは功罪あるので目をつぶるとして、
間違いの指摘や裏付け等のサポートをすべきだった編集仕事しろ、と言った所でしょうか。
色々文句はつけましたが普通に参考になりましたし、近いうちに片付け祭りをしたいと思います。