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イド考察(割と酷いネタバレです)

自分のブログにサンホラ考察を書くのは初だと思いますが、
今回は話の概要が分かりやすい割に、細かい謎の解釈の幅が広いので、
一意見として読んでいただけたらいいんじゃないかなという趣旨で書いてみます。

・テレーゼ・メルクス親子は人目を避けて森の中を転々と暮らしている
・メルは幼少のみぎりに盲目で、テレーゼはそれを治すべく様々な医学・薬学に精通してゆく
・やがてメルの目は光を取り戻し、テレーゼは身に付けた知識で他人を救うこともあった
・ある日メルはエリーザベトと出会い、それと気付かず恋心を抱く
・エリーザベトも広く魅力的な『外の世界』を教えてくれたメルに恋をしていた
・ある日テレーゼは何度目かの移住を決意し、メルはエリーザベトに別れを告げる
・エリーザベトは自分の代わりにとメルに人形を渡し、メルはその人形を生涯大事にする
・テレーゼの噂は次第に人々の知るところとなり、やがて魔女として疎む者が現れる
・追跡者が親子の元に。テレーゼは捕われ、メルは人形と共に井戸に落とされる(1曲目)
・テレーゼは火刑台に送られ、戯れに息子を殺した世界と運命を呪いながら絶命する(3曲目)
・エリーザベトは親子の死を知り、成長し、メルへの恋心を抱いたまま政略結婚(2曲目)
・テレーゼの呪いは黒き死の病となって井戸から噴き出し、村人は全滅する(ボーナストラック)
・メルは死人となってその歴史を見守り、意志を持った人形に童話として語り聞かせる(1曲目)

…ここまでは公式の情報からも類推できるストーリー。
主に3曲目に集中しているのですが、いくつか細かい謎が残ります。

■3曲目冒頭に登場するアンネリーゼとは何者か
◎ メルの実母。テレーゼはアンネリーゼへの遺恨(と、子供を授かりたいという願望?)
  からメルをさらって森へ姿を隠し、自分の子供として育てる。『贖罪者』という一説と一致。
  執拗に『アナタを産んだのは私です』と繰り返すのは自らそう思い込む為?
○ 上記に加え、テレーゼ自身もアンネリーゼの実子であり、
  メルとは歳の離れた姉弟ではないかという説。『母にして姉』という一説と一致。
  アンネリーゼへの(特に説明のない)遺恨も母娘の確執とすると分かりやすい。
△ アンネリーゼの子とメルは別人で、単に境遇が似ているだけという説。
  テレーゼ一人称の『アナタを産んだのは私です』を素直に受け止めれば一致する。
  ただ、わざわざセリフを投じて強調するには弱いエピソードとなってしまう。

■侯妃のエピソードは物語にどう関わるのか
◎ テレーゼの死亡フラグ。今まで人を助け、感謝こそされ恨まれることはなかったが、
  侯女を救えなかったことで侯妃の恨みを買うこととなり、
  連鎖的に彼女が魔女として糾弾されるきっかけとなってしまう。
○ 上記に加え(穿った見方として)亡くなった侯女の網膜をメルに移植したのでは。
  メルが快復した過程を『とても不思議な出来事』とぼかしているのが意味深なので。
  ただ、いくら賢女とはいえ中近世ドイツでそんな手術が可能なのかは微妙。
△ 奇跡的に侯女は快復=後のエリーザベトという説。
  メルがそれなりに成長した時点のエピソードなので二人の年齢が合わない。
  メルが数歳年上でも物語は成立するが、PVでは同じ背格好として描かれているので。

■本編アルバムにどう繋がるのか
けっこうこのマキシ1枚で話が完結しているので予想しづらい感がある。
未登場のメルの父親か、唯一の生存者であるエリーザベトが絡むのか。
イド・エリーゼのコンビや、『本物の魔女』となったテレーゼも考えられるが、
両者が再会してしまうと『死』の悲壮感が薄れるので、登場してもどちらかでは。

■余談
メルは世間知らずの割に、女の子の部屋の窓に降り立ったり、
まんまと夜の森に連れ出したり、挙句の果てに最後にはチューしたりと、
けっこうタラシである。テレーゼさんはこの子にどういう教育をしたのか。
あと、生誕祭の諸々のせいでエリーゼがチャッキーみたいになりそうで怖くなってきた。