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私はシスターサツキ...

ごきげんよう。クランベル修道院のサツキです。

昨晩より、ねさんの飼っていらっしゃるワンちゃんが
体調不良を訴えて鳴いていたそうで…。
本日は動物病院へ診察に行かれたそうです。

犬と言えば、思い出したお話がひとつ。

1年ほど前になるでしょうか…寒い秋の雨の日のことです。
修道院の前に、一匹の子犬が捨てられていたことがありました。
もちろん、わたくしどもは保護しましたわ。

ですが、人間への警戒心からなのか…。
わたくしを含め、その場に居た修道士の誰にも懐かず。
まともにミルクも飲んでくれなくて困り果てておりました。

…そこに、任務を終えたブラザーアリマが帰還したのです。

するとどうでしょう。子犬はブラザーアリマに飛びつくと、
尻尾を激しく振って大喜びなのです。
当のブラザーアリマは服が汚れて仏頂面でしたが…。

特にオーカとキッカは残念がっておりましたわ…。
その後も子犬はブラザーアリマにしか懐かなかったので、
子犬の世話係はブラザーアリマに任せることになりました。

あれこれ文句を言いながらも…餌や粗相の始末など、
ブラザーアリマは細やかに世話をしておりました。
朝晩の散歩も欠かさず、大騒ぎしながらシャンプーをしたりも…。

…その子犬ですか?実はそれから1ヶ月ほどして、
捨てたことを後悔した本当の飼い主が名乗り出て、
再び引き取ることになったのです。

ブラザーアリマは『これで清々したぜ』と申しておりましたが、
次の日の朝…ブラザーアリマのベッドの下に、
涙で滲んだ子犬の写真があったことをわたくしは知っています。

…願わくば二度と、
このように命が粗末に扱われぬよう祈るばかりですね。
それでは、ごきげんよう。